【矢掛町の味のルーツ】製麺の歴史と今も続く手延べの技術
岡山県の備中地域に位置する矢掛町(やかげちょう)は、歴史ある宿場町として知られるだけでなく、古くから小麦の栽培が盛んな地域です。
そんな矢掛町では、長い年月をかけて培われた小麦文化の中から、素麺やうどんといった製麺の技術と食文化が育まれてきました。今回は、矢掛町が誇る「製麺の歴史」についてご紹介します。
◆ 備中素麺の歴史と、矢掛町の役割
「備中素麺」は、岡山県の備中地域、特に矢掛町・笠岡市・浅口市鴨方町で作られてきた手延べ素麺の一種。地元でも長年愛されてきた伝統の味です。
その起源は非常に古く、なんと9世紀頃には、吉備地方で「麦切(むぎきり)」と呼ばれる素麺の原型が作られていたという記録が残っています。この「麦切」は、朝廷にも献上されるほどの逸品だったとされ、当時から高い評価を得ていたことがうかがえます。
矢掛町がある備中地域には、素麺作りに欠かせない自然の恵みがありました。
- 杉谷川や高梁川の清流
- 瀬戸内海沿岸で作られる塩
- 地元で栽培される小麦
こうした豊かな素材に恵まれた土地だからこそ、製粉から製麺までの工程が発達し、特に杉谷川周辺では水車を活用した一体的な素麺づくりが行われていたと伝えられています。
◆ 矢掛町の製麺所 ~ 受け継がれる手仕事の技術 ~
矢掛町には、いまもなお昔ながらの製麺技術を受け継ぐ製麺所が点在しています。
● 池田製麺所(昭和52年創業)
毎朝3時半から製麺作業が始まる池田製麺所では、その日の天候や湿度を見て塩加減を調整しながら丁寧に手延べ麺を作っています。
家族で守り続けるこの味は、地域の食卓で長年愛されてきた逸品です。
● 渡辺製麺所
旧山陽道の宿場町として栄えた矢掛町の歴史とともに歩む渡辺製麺所では、製麺技能士の技術を活かした、昔ながらの味わい深い麺を現代の食卓へと届けています。
どちらも、地元の気候と水、素材を活かしながら、熟練の技術と心を込めて作る麺づくりを大切にしています。
◆ 製麺の伝統を未来へ、全国へ
現代では、製麺所もオンライン販売や新商品の開発など、新たな挑戦を始めています。
池田製麺所では、地元の特産品としての手延べ麺を全国に届けるため、インターネット販売もスタート。
これにより、矢掛町の味が地域を超えて全国の食卓に届くようになりました。
また、地元のイベントや店舗とのコラボレーションを通じて、製麺文化の魅力を広める取り組みも進んでいます。
◆ 伝統の味を、これからも大切に
矢掛町の製麺の歴史は、古代の麦文化から続く知恵と技術、そして人々の努力の積み重ねによって築かれてきました。
これからもこの伝統が受け継がれ、未来の世代へ、そして日本中・世界中の食卓へと広がっていくことを願っています。
矢掛の味は、単なる「商品」ではなく、地域の誇りです。
📍福本屋サラダ館では、矢掛町が育んだ製麺の伝統を、手延べ素麺・冷やし中華・つけ麺などを通じてお届けしています。
地元の歴史を感じる一品を、ぜひ味わってみてください。